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ホンダ「F1プレスブリーフィング」、質疑応答全文

ホンダ「F1プレスブリーフィング」、質疑応答全文

昨日、ホンダは東京都内でレースメディア関係者向けの「F1プレスブリーフィング」を行った。

会見の席上、HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長と武石伊久雄専務は、現状の置かれた状況および今後の対策について、それぞれ次のように質疑応答で明かした。



【Q】予算制限について、例えば今の状況なので前半の方に予算を大幅に振って人を増やすとか、予算の振り替えなどは検討しているのか?

【A】
渡辺社長
『パワーユニットに関してのコストキャップは2023年からスタートして現在4年目のシーズンです。1年で決められた額の中で抑えなければいけないので、基本的には開発のスケジュールに合わせていますが、現在はトラブルを抱えている部分があるため、その部分については少し前寄せで予算を消費することになるかと思います。』


【Q】3月1日のホモロゲーショについて、今の課題がある中では理想の仕様を入れられなかったと想像している。今後の計画として新スペックの投入は考えているか?

【A】
武石専務
『現状は今の課題を解決するためにアストンマーティンのメンバーも含めて対応している状況なので、その先をどうするかは議論しながらになりますが、まずは今、集中させていただいています。大幅アップデートをするかどうかは、もうちょっと先の議論になっています。』

渡辺社長
『ホモロゲーションは3月1日に行います。信頼性の部分についてはその後もアップデートが可能なので、そこを継続して行い、当面は今承認を取ったものを最大化させるオペレーションに注力します。それ以上はもうできないという状況ですね。』


【Q】プレテストでの主な原因として「リアルビークルダイナミクス」での振動問題が挙げられていた。レッドブル時代には起きていなかった問題だが、なぜ今この問題が大きく取り沙汰されているのか?

【A】
武石専務
『たしかにレッドブルでは問題になっていませんでした。今回はレギュレーションが大きく変わったことや、ダイナミクスに大きな変化があったことも一つかもしれません。開発において起振源はもちろんパワーユニットになりますが、(パワーユニットとシャシーを組み合わせて)車にした時には路面側から入ってくる入力など色々な要素が絡み合います。かなりの複合要因の結果として振動が起こっており、ズバリここだからという解明は難しい状態です。どちらかの技術力の問題ではなく、車1台分としての複合要素が、今回は厳しい方向に出てしまったと考えています。』


【Q】現在、一体何が起きているのか、可能な範囲で具体的に教えてほしい

【A】
武石専務
『プレシーズンテストの中で異常振動が見受けられました。その異常振動によってバッテリーシステム系に損傷を負ってしまったのが、ストップした大きな原因です。それに対してパワーユニット側で原因究明と対策を行い、併せて車体側でも対策を施そうとしました。具体的にはSakuraのベンチを使い、モノコックが乗っている状態で振動対策や解析を行い、現在まさに何種類もの対策を走らせている最中です。走行中の複合要因による異常振動でバッテリー内部にダメージを受けた。それを必死に追いかけて、アストンマーティンと共に開幕戦に向けて解決しようと動いているのが現在の状況です。』


【Q】バッテリーに問題があって、エンジンの方には問題はないということか?

【A】
武石専務
『状況で言うとそうですね。振動によってバッテリーにダメージが出ているので、バッテリーそのものが問題かどうかは分かりません。バッテリーシステムにダメージは寄りましたが、そこに問題があったとは断言できません。今なお究明に当たっているという感じです。』


【Q】最高回転数に制限をかけていたという噂や、自前のギアボックスとの共振についてはどうか?

【A】
武石専務
『最高回転数制限についてはランプラン(走行テスト計画)上の戦略として行っていた可能性はありますが、エンジンの状況が悪いために絞ったというわけではありません。色々な要素が絡み合っているので、まだそこまで特定できるようなデータが出ているわけではないので、分からないというのが事実です。』


【Q】異常振動は、車体によってバッテリーパックが揺らされているということか? また、これは全く想定外の問題だったのか? 改善の展望は?

【A】
武石専務
『バッテリーパックがくっついているところが揺れているということです。想定内だったら、(テスト開始までに)もうちょっと直していたと思います。厳しい状況に転んだと思っています。全力でやっているので、直ぐに改善したいと思っています。Sakuraでも(テストベンチを使って)今まさにやっている最中です。ただ、例えばトランスミッションやエンジンなど(問題解決ポイントを)1個に限定できれば攻め込みやすいのですが、それぞれが連携しながら振動を発生させていると思われますので、1個だけ直せばいいかも分からず、長引く可能性も否定できません。気合だけで言うとすぐに直したいです。』


【Q】バーレーンテスト2回目を終えてからバッテリーの問題解消のために設計変更したことはあるか?

【A】
武石専務
『今ちょうどSakuraでやっている最中なので、その部分は(ホモロゲーションや開幕戦までに)期限的に間に合わないと思います。』


【Q】ではバルセロナ前の持ち込み仕様でそのまま行くことになるのか?

【A】
武石専務
『基本はそうなります。できる限りはしますが、バーレーンで持って行ってもダメになってしまったので。』


【Q】共振の問題について、Sakuraのベンチで傾向は見えているのか?

【A】
武石専務
『ベンチの中でも傾向は見えるので、実機のデータを予測・加味しながら改善できる手を今回入れていくのが我々の方向性です。僕の中では開幕までになんとかもっと下げようと思っていますし、鈴鹿までにも当然しっかり作っていく算段です。問題が解決すれば、本来のポテンシャルは出てくると思います。』

【Q】パフォーマンス面については?

【A】
武石専務
『この前の実走テストで踏み込みたかったところですが、今はパフォーマンスの話を積極的にできる状況ではないかなと。』


【Q】熱の問題や、アストンマーティンとの連携状況についても教えてほしい。A・コーウェルがSakuraに来ているという噂もあるが事実か?

【A】
武石専務
『熱の問題は今取り沙汰されていることはありません。車体側の協力についてはおっしゃる通りで、アストンマーティンからは5名のエンジニアが来てくれて、昼夜一緒になって解決しようとしています。アストンマーティンの部品を変更してでも対応しようとしてくれている状況です。オーストラリアでうまくいく可能性だってまだ諦めていません。設計変更については、バッテリーを2階建てから1階建てにするような話は今からはできません。ですのでアストンマーティンに協力を得ながら、なんとか現行をこなしていきたいのが正直な狙いです。』


【Q】ニューウェイが設計したマシンの足回りの硬さが影響している可能性はないのか?

【A】
武石専務
『足回りの因果関係について言及するのはまだ早いので、これからの調査だと思っています。Sakuraでは何百パターンも考えてシミュレーションを回しています。シミュレーションで当たりきらない部分はリグや実走を見ながら直していくのが現状です。』


【Q】どの振動で問題が起きているか確認は取れているのか? 実車でバッテリーへの振動を計測するシステムはSakuraにあるのか?

【A】
武石専務
『起振源がエンジンなのは間違いありません。それがどう車体に受け止められるか、連携した最後の振動をどうシャットダウンするか、あるいは剛性で固めるか、いなすのか。そのへんをトライしている最中です。センサーやゲージを貼りながら測定しており、バッテリーの振動数値は確認しています。再現もできるかなと思っています。色々なデータが入ってきていますので、活用して解決につなげていきたいです。』


【Q】ニューウェイが「MGU-Kのリチャージが想定の350kWに対して250kWすらできていない」と発言したという報道があるが事実か?

【A】
武石専務
『そのような話は聞いていません。正直申し上げまして、聞いておりませんので事実は答えようがないというのが正式な答えです。仮にそういうことがあったとしたら、ランプランの中でやっていたことを切り取られたのかもしれませんが、本人からも聞いていませんので、掴みきれていないのが正直なところです。』


【Q】回転数を制限しているために回生量が設定できないのでは?

【A】
武石専務
『原理的には回転数を上げれば出力も上がる方向なので、350kW/250kWの話とは関係ないと思います。あくまでランプランの話だと思います。』


【Q】バッテリーのダメージで何ができなくなったのか? またアストンマーティンの反応は?

【A】
武石専務
『詳細は避けますが、そのまま走行してはいけないような異常です。2日目に止まったのと関係しています。漏電の危険性という意味で走るのをやめました。アストンマーティンとはワンチームで乗り切りましょうという形で、協力的にやってくれています。一番のプライオリティは振動対策によってバッテリーの耐久性をキープすること。そこを改善しないと先に進めませんので、アストンと(解決策アイデアの)玉出しをして、Sakuraで再現をして、開幕に向けては暫定的な対策で臨むことになると思います。そこができてくれば今度はパフォーマンスの話ができるようになります。』


【Q】2015年のマクラーレン時代のような関係悪化の懸念はないか?

【A】
渡辺社長
『長期的なパートナーシップを目指しており、今の段階ではものすごく、お互いワンチームで解決しましょうという団結した関係にあります。私も直接ストロール会長やエイドリアンと話をしますが、非常に前向きな議論ができています。オーストラリアでちゃんと走るために全力でやろうと確認し合っています。もちろんテストをしているドライバーのイライラはあるでしょうから、そこは我々がパフォーマンスで返すしかありません。』

武石専務
『現場ベースでもデータに基づいて物事を解決していこうという雰囲気がありますので、ポジティブに捉えています。』

【Q】FIAの圧縮比に関する判断や、燃料のスペックについてはどうか?

【A】
渡辺社長『圧縮比の報道はたぶん間違っていて、FIAから最終的な提案はまだ正式に出てきておりません。したがって投票も行われていない状態です。燃料については、計画通りレギュレーションに準じたものを入れています。』


【Q】技術的な知見があるはずのホンダがこれほど苦戦しているのはなぜか?

【A】
渡辺社長
『2021年で正式参戦を終了した時に、エンジニアを量産や先進エネルギー研究などに戻しました。ですので実際には人はいなくなっており、技術開発のブランクは存在しています。2023年にマニュファクチャラー登録をしてから人を集め直しているので、タイムラグが出てしまっています。その2022年はコストキャップ制限がない状態で他チームが動けた一方、我々が戻った2023年からは制限が始まっていたという運用面での出遅れも否めません。そこは自分のせいかなと思います。』


【Q】最後にファンへのメッセージをお願いします

【A】
武石専務
『私の方はあまりかっこいいことは言えないのですが、厳しい状況の中でも、できる限りの対策に向けて持てる力で打っていきたいと思っています。必ず勝ちに行きますので、その過程をずっと見守っていただきたいなと思います。』

渡辺社長
『いよいよアストンマーティンさんと組んでワークス体制ができることは、心から嬉しいです。厳しい状況ですが、絶対に諦めることはないので、開幕戦に向けて努力していきます。新しいチーム、新しい燃料、新しいオイルという非常に難易度の高いチャレンジですが、難しいからこそやる意義があります。決して諦めずに、多少時間がかかっても常に上を向いてやっていきますので、ぜひ応援をお願いします。』

[2026.02.28]


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